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急性耳血腫・慢性耳血腫

 耳血腫(じけっしゅ)とは耳介(じかい)の軟骨と皮下組織の間に血が溜まった状態です。柔道、レスリング、相撲、ラグビーなど、頭部の擦れるスポーツが原因となることが多く、単に内出血により血液が溜まっている状態を急性耳血腫、急性血腫を繰り返すことにより耳介の皮下組織に繊維化が起こり、全体的に耳がごつごつと硬くなった状態を慢性耳血腫といいます。
 急性耳血腫は、穿刺吸引(注射器で内容液を抜くこと)で一旦は良くなりますが、再発しやすく、根本的治療と患部の安静が必要となります。再発を防ぐためには、皮膚の下に血液が貯まらないようにする開窓術と圧迫固定が行われてきました。しかし最近では患部にメスを入れずに、腫れた耳介にOK-432(ピシバニール)という薬物を注入するだけ、というOK-432注入療法が有効であることが分かってきました。OK-432注入療法のメリットは、「切開などの観血操作が不要なこと」、「圧迫固定が不要であること」、「治療後の処置は不要であること」、「再発が少ないこと」などがあり、今後は手術に替わって主流になると思われます。
 慢性になるとなかなか有効な治療法がないので、急性のうちに治療することが重要です。

*急性耳血腫にたいするOK-432注入療法については
深瀬滋先生の「OK-432嚢胞内注入療法」をご参照下さい。

by otologist | 2010-09-30 15:34 | 耳の病気

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